塩ビは怖い? ラップの加熱は危険?
こんにちは!
今日は化学的なお話を。塩ビは怖い?
私の母は天然・自然が大好きな人で、いわゆる化学的なものが本能的に苦手なんですね。食品添加物とかはない方が良いという考え方です。野菜は有機栽培の農家さんから購入しています。
ところで、お皿に入ったおかずを一時保存する際や電子レンジで加熱する際にキッチンラップを使いますよね。
食品にラップをかけて電子レンジで加熱するときに、母はよく「塩ビが恐い」と言います。
今回は、この「ラップの加熱は怖いのか?」ということについて簡単にご紹介していきたいと思います。
この記事を読んでほしい人:
・塩ビが恐い人
・ラップの加熱が不安な人
・塩素化合物とダイオキシンの関係について知りたい人
※画像はイメージです。本文の内容を反映しているものではありません 。
塩ビとは何ぞや?
さて、塩ビとはそもそも何なのでしょうか。
まず、サランラップの主成分は「ポリ塩化ビニリデン」であることを現物で確認しました。
そして、塩化ビニリデンが重合した化合物のことをポリ塩化ビニリデンと呼びます。*1
また、似たようなものに、塩化ビニルが重合したポリ塩化ビニルがあります。*2
ポリ塩化ビニリデンは-CH2-CCl2-の構造が、
ポリ塩化ビニルでは-CH2-CHCl-の構造がひたすら繰り返されます。
そして、一般に塩ビや塩化ビニルと言う場合は、このポリ塩化ビニルのことを指します。
ということで、ラップは塩ビとは言えませんが、
とりあえず、母の認識のラップ≒塩ビという解釈で進めたいと思います。
旭化成ホームプロダクトの見解
早速、核心に迫りますが、以下、旭化成ホームプロダクトさんのQ&Aの引用です。
http://faq.asahi-kasei.co.jp/faq/detail?site=6M0LWAV2&category=7&id=5
Q:食品をラップして電子レンジにかけたらフィルムが溶けてしまったのですが心配ないですか?
A:温まった食品の熱によりフィルムが溶けてしまったものと思われますが、フィルムから体に悪いものが出てくることはありません。
http://faq.asahi-kasei.co.jp/faq/detail?site=6M0LWAV2&category=7&id=8
Q:欧米先進国では「サランラップ®」などのポリ塩化ビニリデン製ラップは禁止されているとききましたが、本当ですか?
A:いいえ、禁止されている事実はありません。環境先進国ドイツを中心としたヨーロッパ各国においても米国においても、ポリ塩化ビニリデン製ラップを禁止するような法律はなく、愛用されています。
http://faq.asahi-kasei.co.jp/faq/detail?site=6M0LWAV2&category=8&id=20
Q: 電子レンジで「サランラップ®」を使うとダイオキシンが発生する心配があるのでしょうか?
A:電子レンジで「サランラップ®」を使用していてダイオキシンが発生することはありえません。
さすが旭化成さん、とてもわかりやすいご説明をされていますね。
ということで、サランラップの使用が体に悪影響を及ぼすということはなさそうです。
しかしながら、ここで皆さんが気になることは「ダイオキシン」というポイントだと思います。
ホームページ内には以下の記事もありました。
ダイオキシンの発生条件
http://faq.asahi-kasei.co.jp/faq/detail?site=6M0LWAV2&category=8&id=21
Q:「サランラップ®」を燃やすと、ダイオキシンが発生するというのは本当ですか?
A:ダイオキシンは「サランラップ®」に限らず塩素の入ったごみを300℃~500℃程度の低い温度で不完全燃焼させたときに発生する恐れがありますが、800℃以上で完全燃焼させれば問題ないといわれています。したがって、使い終わった「サランラップ®」は家庭では燃やさず、プラスチックごみとして各自治体の定める方法に従って廃棄してください。
http://faq.asahi-kasei.co.jp/faq/detail?site=6M0LWAV2&category=8&id=22
Q:たとえ少量でも「サランラップ®」は家庭で燃やさない方がよいのですか?
A:そうです。ダイオキシンの発生条件やメカニズムはまだ十分に解明されているとはいえません。しかし不完全燃焼の場合にダイオキシン発生の恐れがあるといわれている以上、たとえ少量でも家庭でごみを燃やすことは避けたほうがより安全です。使い終わった「サランラップ®」はプラスチックごみとして各自治体の定める方法で分別廃棄してください。
むふむふ。いかがでしょうか?
おそらく「塩ビが恐い」という表現は、このダイオキシンの発生が恐いということだと推察されます。
私も小学生の頃、学校でダイオキシンに身体が侵されてしまうアニメ映画を見ました。
つまり:ダイオキシンはやばいやつ→ダイオキシンの元になるポリ塩化ビニリデン(塩化ビニル)もやばいやつ→ポリ塩化ビニリデンを使用しているサランラップもやばいやつ
という方程式ができあがってしまうんですね!
安全か危険を語る際に、話を難しくしている点は、この方程式は一概には間違っていないというところです。
Q&Aにもあるように、 塩素化合物を300℃~500℃程度の低い温度で不完全燃焼させたときにダイオキシンが発生する恐れがあるとされています。
この負の一面が、悪いイメージを定着させてしまうのでしょう。
ですが、皆さん落ち着いてください。
通常、電子レンジの加熱で300℃になることはありません。
そんなことになれば大火傷をしてしまいますね。
ただし、家庭ではむやみやたらに焼却しないように気を付けなければいけません。
詳しくはありませんが、農家では家庭や農地でゴミを燃やすこともあるのでしょうか…?焼畑農業などもありますね。
かつては、ゴミの焼却技術が低かったため、社会問題になってしまいました。*3
まとめ
結論を述べますと、普段使いの範囲ではラップを電子レンジで加熱することは問題ありません。
そもそもラップは所謂「塩ビ」ではありませんが、
使用の際に「塩ビが恐い」等とは思わなくても大丈夫です。
しかしながら、塩素を含む化合物の不完全燃焼によりダイオキシンが発生することが知られています。
何事にもリスクはつきものです。
メリット・デメリットを考えて安全に利用していきたいですね。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました\(^o^)/
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