青年海外協力隊がつくる日本ー選考試験, 現地活動, 帰国後の進路ー

こんにちは!

 

 

 本日ご紹介する書籍は「青年海外協力隊がつくる日本ー選考試験, 現地活動, 帰国後の進路ー」です!

 

 

青年海外協力隊に興味津々のひろろですが、今回はこちらの書籍を読んでみました。

本書の特徴は、隊員たちのその後についても記述している点です。

ただし、初めに青年海外協力隊の簡単な説明があり、あとはほぼひたすら体験談が収録されているため、青年海外協力隊について、ある程度の基礎知識がないととっつきにくいかもしれません。

 

 

ちなみに以前紹介した以下の書籍は、青年海外協力隊に関する詳細な情報が載っていますので、気になる方はこちらもどうぞ。

hirororo.hatenablog.jp

 

 

 

第10章 周縁を見る眼

 

本書から一つご紹介させていただくと、個人的には第10章のエピソードには感動させられました。根本和洋さんという方の体験談であり、根本さんは現在信州大学で教鞭をとっておられます。このお話は以下のような冒頭から始まります。

 

冬のある夜、遅い時間に自宅の電話が鳴った。時計を見ると夜10時ちょうどだった。

受話器を取ると交換手らしい女性が英語でネパールからの電話だと告げた。しばらく間をおいて、ネパール語で男性のやさしい声が聞こえてきた。

「サール、ナマスカール!」。

 

どうでしょうか?非常にお上手な文章ですね!小説のような始まりで、物語が始まるわくわく感が感じられます!

 

このネパール人は現地で根本さんの活動に協力してくれた方でした。

しかしながら、この電話で「今度はいつネパールに来るのか?」と問われた根本さんは、「今は行く予定がない」と答えてしまったところ、電話を切られてしまいました。 

ここから、協力隊の頃の回想が始まります。

 

根本さんはネパールで各作物の栽培試験、作物遺伝子資源の収集とその評価を主な活動としました。

 

協力隊の経験を経て、根本さんは周縁を見る眼が養われたと綴ります。

①地理的周縁性

②経済的周縁性

③環境的周縁性 

など、物事の中央を見るだけでなく、その周縁を見る。

そうすると、1つの課題に対して、いろいろな受けとり方ができるのでしょう。

 

きっと、大きな問題にぶち当たったとき、このような発想で切り抜けてこられたのでしょうね。 

 

 

 さて、初版ではこのあたりでお終いです。

最後に、根本さんは家族と共に再びネパールへと渡ることを思案していると綴り、筆を置きます。

 

 

 根本さんのその後

 

ですが、第2版には根本さんのその後が加筆されています!

 

なんと現在、冒頭に出てきたネパール人の娘さんが日本に来て専門学校に通っています。冒頭では電話をぶち切られてしまったわけですが、こうして今も家族ぐるみで交流が続いているのは素晴らしいことですね(^^)

 

第2版の最後は以下の文章で締めくくられます。

 

一緒にいた当時、彼女はまだ4、5歳だった。いつも鼻水をたらしていたが、目に力のある賢い子だった。名古屋の日本語学校で猛勉強し、今は専門学校に通っている。親戚から大きな借金をして日本に来た彼女。借金の返済と親へのわずかな仕送りのために学校以外の時間はほぼバイトにあてられている。微力ではあるが、今度は私が彼女の親代わりとなって、恩返しをする番だ。

 

最後まで読んで、思わず涙してしまいました。(笑)

ネパールから日本に来るのは、日本からネパールに行くのとは違い、余程の決意が必要になることでしょう。

また、根本さんの「親代わり」という言葉も生半可な気持ちでは出てこないものでしょう。それだけ、家族間の絆の深さが表現されていると思いました。

 

活動を終えてもなお続いてゆく関係、それが青年海外協力隊の魅力なのかもしれません。

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。