カラフル(森絵都)

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本日ご紹介する書籍はこちら!

(ネタバレありです!)

 ジャジャン♫

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

 

 

 

 

児童文学の金字塔!「カラフル」

私は高校生の頃に読んで感動しました。

ふと、最近読み返したので、皆さんに感想をシェアさせていただきたいと思います。

 

児童文学なので、普段本を読まない方でも簡単に読破できますね!

簡単ですが、考えさせられることは多いです。

自分が見ている世界が全てではないということ。分かってはいるつもりでも、どうでしょうか。

不満なこと、つらいこと、逃げ出したいこと、ありますよね。

憎らしい人、嫌いな人、馬が合わない人があなたの周りにはいませんか?

 

そんな時に本書を思い出すと、きっと冷静になれます。

「あの出来事には、きっとこんな意味が…」「あの人も実は…」

私には、世界はまだまだ分からないことだらけです。

世の中には沢山の色が溢れています。

あなたには、見えていない色はありませんか?

 

 

「おめでとうございます、抽選にあたりました!」

 本の内容は忘れても、この印象的な冒頭は覚えている方が多いのではないでしょうか。

そう、あの抽選にあたるやつですね(笑)

印象的なセリフも多く、とても読みやすい小説です!

 

プラプラという名の天使が現れ、主人公「ぼく」に話しかける。「ぼく」は前世で過ちを起こした魂で、これから下界で誰かの体を借りて修行(ホームステイ)を積む。無事、前世で犯した過ちを自覚することができれば、ホームステイは終了し、晴れて「ぼく」は生まれ変わることができる。

ザックリとこんな内容ですね。

勿論、ホームステイは一筋縄でいくはずもなく、そこには様々な困難、選択、そして「ぼく」自身の気付きが待っています。

 

二年間そうやって死人のように出社し続けたよ

物語が中盤から後半に差し掛かるころ、「ぼく」は見落としていた重大な事実を知ることになります。以下は、私がこの小説で一番好きな部分、「ぼく」と父のやりとりです。

「 じゃあ、あの夜、あんなに喜んでいたのは、出世したからじゃなかったの?」

 「出世したからさ」と、父親はあっさり認めた。「これでやっとまたまともな仕事ができるようになったんだ。しかも念願の企画部だぞ。今度こそ地道にいい商品を開発していこうと、あの夜は若い社員たちと大いにもりあがったよ。一時はなげやりになったこともあったが、まだまだ父さんの人生も捨てたもんじゃない、ってな」

「お前の目にはただのつまらんサラリーマンに移るかも知れない。毎日毎日、満員電車に揺られてるだけの退屈な中年に見えるかもしれない。しかし父さんの人生は父さんなりに波乱万丈だ。いいこともあれば悪い事もあった。それでひとつだけ言えるのは、悪いことってのはいつかは終わるってことだな。ちんまりした教訓だが、ほんとだぞ。いいことがいつまでも続かないように、悪いことだってそうそう続くもんじゃない」

 会社の重役が逮捕されて、自分が昇進できることを知った父親。喜ぶ父親を見て、「ぼく」はショックを受けてしまいました。尊敬していた父親がこんな軽薄な人間であったのかと落胆してしまうわけですね。普通は会社の心配をするところだと、落ち込むところだと。

しかし、実は父親は重役が逮捕される前から会社と闘っていました。自分の力ではどうにもできなかったとき、警察が介入して悪事が晒された。父親はこれから自分たちが会社を立て直していくんだと意気揚々と家にかえってきた。

 

同じ出来事なのに、本人と周りでは受け取り方が違う。とても悲しいすれ違いですよね。

 

私は、身近な人、大切な人と口げんかになることもあります。正直、「何言ってるんだ?」と感じることもあります。でも、本当は私が相手のことをちゃんと見れていないだけだと、そう考えるようにしています。相手には相手の人生があり、そこには自分が知らない経験が沢山含まれているわけですよね!相手は、自分には見えない色について喋っている、自分はその色を必死に見ようとする。そうするだけで、歩み寄れることがある、少しずつでも理解しあっていくことができるんじゃないかと、そう思うわけです。「カラフル」は、そんな考え方を私に与えてくれました。また、世界にはいろんな色が溢れていて、それが全部分からなくて当たり前なのだと気付かせてくれました。

 

ホームステイだと思えばいいのです

物語は父だけでなく、母、兄、友だち(?)など、様々な誤解と真実を明らかにしていきます。

物語の終盤、再び下界に戻ることに不安になっている「ぼく」に対して、プラプラはホームステイだと思えば良いと提案する。何も気構える必要はないと、所詮数十年人生だと。

なかなか、そうはいっても、プラプラの提案通りに気軽に生きていくことは難しいですが。ですが、ホームステイだと思えば、案外、気が楽になることもありますね。投げやりになってはだめですが(笑)

 

まとめ

「カラフル」は、私が10代で初めてまともに読んだ小説でした。良い本に巡り会えたと思っています。世の中は、自分が見えていること、理解していることだけで成り立っているわけではないことを教えてくれました。また、全部を分かっていなくても当たり前だと、みんなそうなんだよと優しく呼びかけてくれる、そんな素敵な小説だと思います。それでは、本日もみなさん、ホームステイの続きを楽しみましょう♪

 

本日もお読みいただき、ありがとうございました!!\(^o^)/

 

 

 

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