化学物質はなぜ嫌われるのか?(佐藤健太郎)(1/2)~DHMO編~
こんにちは!
本日ご紹介する書籍はこちら!!
ジャジャン♫
化学物質はなぜ嫌われるのか ?「化学物質」のニュースを読み解く (知りたい!サイエンス 33)
- 作者: 佐藤健太郎
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2008/06/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「化学物質はなぜ嫌われるのか ?「化学物質」のニュースを読み解く (知りたい!サイエンス 33)」 佐藤健太郎著 2008年発行
化学物質が嫌いな人の目を引くようなタイトルですが、
中身は逆で、(思想、性格的な意味での)化学物質アレルギーが広まりすぎている現状に警鐘を鳴らしているものです!
この「知りたい!サイエンスシリーズ」は好きでいくつか読んだことがありますが、一定の安心感がありますね。
佐藤健太郎さんはサイエンスライターという肩書で執筆活動をされています。*1
東京工業大学大学院修士課程修了後、製薬会社で研究をされていただけあって、説得力抜群の文章です!
ちなみに、同著者の「医薬品クライシス」(医薬品クライシス―78兆円市場の激震 (新潮新書))という書籍も読みましたが、とても面白かったので、いつかシェアしたいと思います。
本書は
「天然由来のものしか食べたくない」
「化学物質って実際悪いの?」
「なんか漠然としすぎててモヤモヤするんだけど」
「つか、地球にある物質って全部化学物質じゃねっ?」
という方々が手に取っていただければ、非常に楽しんでいただけるのではかと思います!
さて、本書の内容は非常に濃くできており、全部ご紹介したいのですが、
そんなことをしていたら膨大な量になってしまいますので、
いつも通り私がワクワクしたところだけ厳選して感想を書いていきたいと思います。
2回に分けて記事にしていきます!
恐怖の化学物質DHMO
本書で一番好きな個所がこの章です。(思想、性格的な意味での)化学物質アレルギーの方に対して、こんなにシンプルで強力なアンチテーゼがあるでしょうか?
1997年、ネイサン・ゾナーという14歳の少年が書いたあるレポートがアメリカの科学フェアで入賞しました。彼は、化学物質DHMOの害を指摘し、この物質の使用禁止を求めて、50人の大人の内、43名のサインを得ることに成功しました。
具体的な危険性は次の通りです。
①酸性雨の主成分である
③高レベルのDHMOにされされることで植物の成長が阻害される
④末期ガンの腫瘍細胞中にも必ず含まれている
⑤固体状態のDHMOに長時間触れていると、皮膚の大規模な損傷を引き起こす
⑥多くの金属を腐食・劣化させる
⑦自動車のブレーキや電気系統の機能低下の原因ともなる
そしてこの危険な物質はアメリカ中の恒常で冷却・洗浄・溶剤などとして何の規制もなく使用・排出され、結果として全米の湖や川、果ては母乳や南極の氷にまで高濃度のDHMOが検出されているとネイサン君は訴えました。さてあなたならこの規制に賛成し、呼びかけに応じて署名をするでしょうか?
はい、ここでthinking time です!!!
果たして、このHDMOとは何なのでしょうか!?
実は皆さんが良く知るものです。
答えはこちら↓
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ジャジャン♫
答え:水(一酸化二水素)(Dihydrogen Monoxide: DHMO)
はい、皆さんお分かりいただけたでしょうか?
実は、DHMOというまがまがしい名前の物質は、私達が良く知る、単なる”水”だったわけですね。
①~⑦の危険性について、何一つ嘘はついていない訳ですが、かなり危険な物質だと”錯覚”してしまいそうではありませんでしたか??
勿論、わざと、さも危険かのように表現しているわけですから、ある程度の”誇張”はしていますね。
しかし、通常リスクと判断されることのない、ただの”水”を題材に、これほど悪そうなイメージを植え付けることができるのですから、まさに”物は言いよう”ということを体感していただけたのではないでしょうか!?
著者は続いて次のように綴っています。
悪魔の証明
「危険性を訴えることは無限にできるのに、誰もが納得できる安全証明はほとんど不可能」なのです。
言ってみればこれは、ネス湖をいくら大規模に捜索したところで、「ネッシーはいない」という証明にはならないのと同じことです。未知の地下水路や岩陰にネッシーが隠れ潜んでいるといった可能性がゼロとはいえない以上、科学者としては「これだけ捜して骨一本見つからないのだから、いないと考えるのが妥当なのではないか」という程度のことしか言えません。「〇〇は存在する」という証明は証拠一つ挙げればいいから簡単ですが、「〇〇は存在しない」という証明は非常に難しく、これは化学物質の安全に限らず自然科学全体につきまとう問題です。
本当にその通りですね。
我々が義務教育で身に付けるべき素養は、こういった不確かな情報から真実を推測する能力ではないでしょうか?
特に、科学に触れたことがある方だとお分かりだと思いますが、世の中は分かっていないことだらけです。その中でも、どこまでが真実で、どこからが推測であるのかを見極めることはとても大事だと思います。すぐに、分かりやすそうな情報に飛びついてしまうのは考え物です。
さて、皆さんの周りには、DHMOはありませんか?
続きは次回
長くなりそうなので、続きは次回!
本日もお読みいただきありがとうございました!\(^o^)/
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