古典的な時間SF小説が読みたいときにオススメの作品~猫とコールドスリープ~

こんにちは!

(2020/6/7更新)

 

本日ご紹介する書籍はこちら!(ネタバレあり)

ジャジャン♫

 

 

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

 

 

タイトル:夏への扉

原題:The Door into Summer

著者:ロバート・A・ハインライン

訳者:福島正実

 

SFが好きな方は是非一度手に取ってみてください。

 

この本、「有名な作品」というだけで、読んでみました。

何の予備知識もありませんでした。

あらすじを読んで、おそらくSF?という感覚でした。

 

結果、SFでした。

というか、まさかのタイムトラベルもので、最高にワクワクしました!

後半から、回収されていく伏線に読む手が止まりませんでした。

 

しかも、これが出版されたのが、なんと1956年という衝撃!

およそ60年前に書かれたものとは思えないほど、違和感なく物語の中に引き込まれてしまいますよ。

60年前ですよ、60年。

何度も言いますが衝撃です。笑

 

本作品では、西暦2000年の世界が描かれます。

自分が生まれるより遥か昔(日本でテレビが初めて放送されたのが1953年!*1*2)に、今の世界とそう変わらない科学技術を予想して書き上げているという事実が本当に信じがたいです。

 

ロバート・A・ハインライン氏は、SF作家であり、他にも評価を受けている傑作をいくつも世に送り出しています。本書は、特に日本で人気が高い作品です。*3

 

 

 

猫大好き

 

著者は、大の猫好きのようです。

ピクシーが死にかけています……尿毒症です。

(中略)

わたしたち夫婦はいささか精神的にまいっています……この小柄な猫に度を超す安着を抱くようになっていたのです。もちろん、飼いはじめたときから、こうなるのが避けられないのは承知していましたし、ペットがわたしたちより長生きするはずもなく、先立たれるだろうとは思っていました――わたしたちはそのときに耐える心の準備をしたほうがいいんでしょうね。にもかかわらず、そうしたところで、ちっとも気が楽になるものではありませんが……。

上記は、物語の一部ではありません。

実際に著者が、当時手紙に記していた文章の抜粋です。ピクシーとは著者が飼っていた猫で、本書に登場するピートという猫のモデルになっていました。*4

そして、本書は以下の文章から始まります。

A・P、

フィリス、

ミックとアンネットほか

世のすべての猫好きに

この本を捧げる

いかがでしょうか?

私は、さして猫が好きなわけではありませんが、

冒頭の文章から、この作品が、心温まる物語であろうことを確信しました。

 

 

 

めっちゃだまされてる

 

この物語の主人公ダン、婚約者のベルにめっちゃだまされます。

えぐいくらいだまされて、薬物も打たれます。

ボコボコにされているので、きっと皆さんも主人公を応援したくなります。笑

 

 

 

30年寝て未来

 

本作品の肝となる部分です。

コールドスリープ*5という技術によって、年を取らずに30年眠ります。

低体温にして、当人の時間の流れを遅くして、何十年も後に目覚める、というものです。

これによって、主人公のダンは、1970年から、30年後の2000年まで眠らされてしまいます。(愛猫ピートは置いてけぼりをくらいます)

 

このコールドスリープという概念は、私は今回初めて読んだので、非常に面白いなあと思いました。

現実にもできそうですよね?

吹雪の中で、極度の低体温になったはずなのに、生きていた、みたいな話があるじゃないですか。

できそうでまだできないような話ってワクワクしませんか?

 

ダンは、2000年の世界で、割と楽しく過ごします。

しかし、時折、過去の出来事と自分の記憶に食い違いが生じて、腑に落ちないところを見つけます。

 

 

 

え、戻ってくるん?

 

なんと、2000年の未来の世界は、科学技術が発達していて、主人公のダンはタイムマシンによって、1970年に舞い戻ってきます!

 

戻ってくるんかーい!

 

完全に一方通行の物語だと思っていたので、まんまと騙されました。

なんせ、1970年には、タイムマシンなどなかったわけですから。

物語の後半に突如タイムマシンが現れます!(ただし未完成)

 

ここで、読者は、それまでの違和感への記憶を辿ることになります。

1970年、ダンが婚約者のベルに騙されたときに、行方の分からなくなった自動車!

あそこから、全て伏線だったのかと!!

 

 

 

やっぱり人を信じる

 

 かつて、相棒に騙されたダンは、それでも、人を信じることを決心します。

「それじゃ、なぜぼくなんかを信用するんだ。一番の方法は、ぼくを会社の弁護士にしておくことだと思うぜ」

ぼくは考えようとした。頭がずきんずきんと痛んだ。ぼくはかつて共同で事業をした、そしてものの見事にだまされた。が――なんどひとにだまされようとも、なんど痛い目をみようとも、結局は人間を信用しなければなにもできないではないか。まったく人間を信用しないでなにかをやるとすれば、山の中の洞窟にでも住んで眠るときにも片目をあけていなければならなくなる。いずれにしろ、絶対安全な方法などというものはないのだ。ただ生きていることそれ自体、生命の危険につねにさらされていることではないか。そして最後には、例外ない死が待っているのだ。

ダンの言う通り、我々人間は、皆支え合って生きていくものだと思います。

ダンは再び、人を信頼することで、自分の未来を託します。

 

 

予想以上にハッピーエンド

 

1970年に戻り、全てを解決したダンは、再び2000年までコールドスリープします。

そこは、愛猫ピートと、深い愛で結ばれた奥さんがいる世界です。

 

 

 

まとめ

 

いかがだったでしょうか?

 

今回は、ロバート・A・ハインライン著の「夏への扉」をご紹介させていただきました。

この作品は完璧にハッピーエンドです。

安心してお読みください。

 

正直、猫は、まあ、あんまり本筋には関係ありませんが。笑

物語の終盤で、ピートと再会するときは、思わず笑みがこぼれることでしょう。

 

というわけで、猫の物語ではありませんので、猫の話が読みたい!っていう人にはあまりお勧めできません。 

SFを楽しみたい方、60年前の作品に脱帽したい方、必読です!!

 

 

それでは、私も夏への扉を探しに行ってきましょうか。

 

 

 

本日もお読みいただき、ありがとうございました!\(^o^)/

 

 

 

 

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