「ひむりーる独唱」(重松清『青い鳥』より) ~孤独との向き合い方~

こんにちは!

 

本日ご紹介する書籍はこちら、「青い鳥」の中の「ひむりーる独唱」です↓↓

(ネタバレありです)

ジャジャン♫

青い鳥 (新潮文庫)

青い鳥 (新潮文庫)

  • 作者:清, 重松
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫
 

 

タイトル:ひむりーる独唱

著者:重松清

出版社:新潮文庫

その他情報:平成22年7月1日発行の「青い鳥」に収載。

 

 

作品の概要

今回は、この「青い鳥」の中の2つ目、「ひむりーる独唱」をご紹介します。

こちらの「青い鳥」は重松清の小説で、8つの短編が連作になっています。

重松清さんは2001年に「ビタミンF」で直木賞を受賞されている作家さんです。

 

1つ目の短編の「ハンカチ」についてはこちらの記事でご紹介しています。↓↓

hirororo.hatenablog.jp

 

 

重松清さんの作品は、平易な文章で執筆されていますので、
普段読書をしない方でも簡単に読み進めることができますよ(^^)

小学校の国語の教科書にもこの方の作品が載っていますね。

 

「ひむりーる独唱」の物語は、中学2年生が舞台です。

 思春期の少年の繊細な心模様を描いた作品です。

 

是非、”孤独”を感じている方に読んでもらいたい作品です。

 

 

吃音症の村内先生

さて、本書の8作は全て主人公が異なりますが、
共通する村内先生という人物が登場します。

一話完結型のドラマを観ているような感じですね。

 

この村内先生には、話すときに、どもってしまう特徴があります。

吃音症と呼ばれるものです。*1

発声時に第1音が円滑に出なかったり、ある音を繰り返したり伸ばしたり、無音が続いたりする言語障害

 

 

おとなしい義男とアーミーナイフ

斉藤義男(よしお)は、おとなしくて言葉数も少ないこの物語の主人公です。

義男は、友達も少なく、担任の明るい性格のノリが苦手でした。

 

義男は、ある日持っていたアーミーナイフで、
担任の先生の背中をブスリと刺してしまいます。

 

 

田舎と畑仕事

事件の後、義男は、事件について知らない祖母のもとで過ごすことになりました。

しかし、畑仕事を手伝っていた義男は、ある日偶然、カエルを鎌で刺し殺してしまいます。

 いけない、と最初は思った。ごめん、と不運なカエルに謝りたかった。

 でも、しゃがみ込んでカエルの死骸を見つめていると、頭の奥から、もっと、という小さな声が聞こえてきた。ぼくの声ではない。知り合いの誰の声でもない。男の声か女の声か、オトナなのか子どもなのか。なにもわからない。ただ、聞こえる。もっと、もっと、もっと、と声は繰り返す。

(中略)

その日から、ぼくは夢中になってカエルを殺しつづけた。

 

カエルを殺すのがやめられなくなった義男は、合計112匹のカエルを殺してしまいます。

義男は、自分の行動をすっかり制御できなくなっていました。

 

 

村内先生と草野心平の詩

入院している担任の先生の代わりに、
義男のクラスの担任として、村内先生がやってきます。

 

義男は、事件のせいで、クラスのみんなにずっと怯えられていました。

 

村内先生は、中庭にいた義男に声をかけ、
草野心平*2の詩集を勧めます。

 

詩の中に義男もいるといいます。

「ひむりーる」に会えるよと。 

 

詩に登場するひむりーるというカエルは、体の色が白く、仲間外れにされていました。

ぼくと同じだ。「わたくしはひとりです」と繰り返す「ひむりーる」はぼくだ。近づいていけばみんなに逃げられてしまい、ひとりでいることに疲れて、「土の中でとろけるように無になりたい」と願う白いカエルは、悲しさに泣くこともできないほど、ぼく、そのものだった。

 

詩集を読んだ義男は、自身の心境と、ひむりーるを重ねます。

 

 

”みんな”の孤独

『ごびらっふの独白』という詩から、村内先生の好きな一節が紹介されます。

みんな孤独で。

みんなの孤独が通じあふたしかな存在をほのぼの意識し。

うつらうつらの日をすごすことは幸福である。

 

義男も、この詩を気に入ります。

 

「ひむりーる」は白い体のために、孤独を味わってきました。

村内先生は、吃音症のために、孤独を味わってきました。

義男もまた、事件のために、孤独を味わってきました。

 

孤独なときは、自分のことしか見えないけれど、
自分以外にも、また孤独を感じている人が必ずいるわけですね。

この世界には、同じく孤独と闘っている人達が沢山いて、
そうなると、それは孤独ではないのかもしれません。

その存在を意識することで、
前に進む勇気が出てくるのではないでしょうか? 

 

 

空は、変わらず青くて広かった

村内先生に勇気をもらった義男は、
物語の最後に、担任の先生に謝罪をします。

「すみませんでした」

 先生におじぎをして、言った。

 顔を上げるとそのまま、教室に戻っていった。言えた。すごく小さな声だったから先生に聞こえたかどうかはわからない。でも言えた。ぼくはぼくの声を確かに聞いて、それだけでよかった。

 席について、シャツの襟を広げて涼しい風を胸に入れながら、窓の外を見た。取り返しのつかないほど変わってしまったぼくの世界の空は、子どもの頃となにも変わらず青くて広かった。

 

起こした事件はなかったことにはならないけれど、
それを受け入れて、義男は前に進んでいきます。

最後の一文から、くすんでいたのは世界ではなく、
義男の心の方だったことが分かります。

世界は、その人自身の心の持ちようによって、
変わって見えてしまうのですね。

 

 

義男が先生を刺した理由

義男が先生を刺した理由は、作中で語られることはありません。

ですが、義男は事件の前から孤独を感じていたのではないでしょうか?

自覚することが難しい”孤独”という感覚が、
義男に、事件や田舎での出来事を引き起こしたのだと思います。

 

村内先生に”孤独”を理解してもらった義男は、
もう孤独ではありません。

 

 

まとめ

本日は重松清氏の「青い鳥」より、
「ひむりーる独唱」をご紹介しました!

いかがでしたか??

 

本作のテーマは”孤独”です。

大きな問題に躓いて孤独を抱えている方

大したことのない事柄でも不安になって、孤独を感じてしまう方

気が付いたら、孤独に押しつぶされそうになっている方

色んな孤独があると思います。

 

皆さんの孤独は、どんな孤独ですか??

 

孤独に押しつぶされそうになったとき、
村内先生の好きな、草野心平の詩を思い出してください。

みんな孤独で。

みんなの孤独が通じあふたしかな存在をほのぼの意識し。

うつらうつらの日をすごすことは幸福である。

 

 孤独が通じ合うとき、あなたはもう一人ではありません。

 

 

さて、この物語では、
草野心平の詩の中から引用される、カエルの言葉が印象的です。

是非カエルの気持ちになって、堪能してみてください。 

 

それでは、みなさん、、、

ぎやわろッぎやわろッぎやわろろろろりッ。 

 

 

本日もお読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

 

 

短編の三作目「おまもり」の紹介はこちら!↓↓

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「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(4/4)~まとめ編~

こんにちは!

 

前回までに続き、本日もこちらをご紹介します↓↓

今回は4/4回目、最終回・まとめです!

ジャジャン♫

 

タイトル:「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック―『病苦を絶つカイロプラクティック』〈PART2〉

著者:塩川 満章

出版社:現代書林

その他情報:2005年6月13日 初版第1刷

 

今回は、カイロプラクティックの”芸術”とまとめです!

 

 

前回の記事、”カイロプラクティックの科学編”はこちら↓↓ 

>>>「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(3/4)~科学編~ - 科学と健康と読書と

 

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 ※画像は本文の内容とは関係ありません。

 

 

カイロプラクティックの芸術 

前章までで説明されたことを踏まえて、
ここでは、カイロプラクティックで改善した症例が写真付きで紹介されています。

 

骨格系の不調にはもちろん、アトピー性皮膚炎*1膠原病*2にも効果があったと述べられています。

 

詳しく実例を知りたい、という方は是非本書を手にとってみてください。

 

 

まとめ

今回は、4回にわたって、塩川満章氏の
”「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック―『病苦を絶つカイロプラクティック』〈PART2〉”

をご紹介しました! 

 

いかがだったでしょうか??

ワクワクしていただけたでしょうか??

 

カイロプラクティックとはなんぞや?」 
カイロプラクティックについてもっと知ってみたい!」
カイロプラクティックの理念や哲学を学びたい!」

という方に是非読んでもらいたい一冊です!

 

本書の内容は、自らアメリカに留学し、
日本でカイロプラクティックスクール*3を設立した塩川氏だからこそ、
大変説得力があるものになっています。

 

本書を読むことで、
カイロプラクティックは、数回の講習会などで取得できるものではなく、
大学の専門課程で学ぶものであることが分かります。

また、カイロプラクティックの生みの親であるD.D.パーマーや、
その息子のB.J.パーマーの物語など、
カイロプラクティックの歴史についても楽しめる書籍になっています。

 

ただし、本書で紹介されているような、
アトピー膠原病などの症例への適用が、
現在の水準ですべて裏付けられているわけではありません。*4

しかしながら、今後、臨床研究が発展し、
そのような効果も実証されていくかもしれませんね!!

 

本記事が、カイロプラクティックについて興味をもってもらうきっかけになれば幸いです(^^)

 

 

本日もお読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

 

 

概要編に戻るにはこちら↓↓

>>>「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(1/4)~概要編~ - 科学と健康と読書と 

 

他のカイロプラクティックの記事はこちら↓↓

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*1:https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%BC%E6%80%A7%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%82%8E-26221

*2:https://kotobank.jp/word/%E8%86%A0%E5%8E%9F%E7%97%85%E3%81%AE%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%97%87%E7%8A%B6-793807

*3:シオカワスクール・オブ・カイロプラクティックhttp://shiokawaschool.com/

*4:Salehi A, Hashemi N, Imanieh MH, Saber M. Chiropractic: Is it Efficient in Treatment
of Diseases? Review of Systematic Reviews. IJCBNM. 2015;3(4):244-254.

「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(3/4)~科学編~

こんにちは!

 

前回の続きで本日もこちらをご紹介します↓↓

今回は3/4回目、”カイロプラクティックの科学編”です!

ジャジャン♫

 

タイトル:「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック―『病苦を絶つカイロプラクティック』〈PART2〉

著者:塩川 満章

出版社:現代書林

その他情報:2005年6月13日 初版第1刷

 

今回は、カイロプラクティックの”科学”についてご紹介していきたいと思います!

 

 

前回の記事はこちら↓↓ 

>>>「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(2/4)~哲学編~ - 科学と健康と読書と

 

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 ※画像は本文の内容とは関係ありません。

 

 

カイロプラクティックの科学 
脊椎サブラクセーションをどのように見つけるか

神経圧迫を科学的に測定する

さて、ここからはカイロプラクティックの科学性について解説されてゆきます。

 

B.Jパーマーは早くから、カイロプラクティックを科学的に実証していく必要があると考えていました。

ここでは、彼が、カイロプラクティック理論を深めていく物語が語られます。

 B.Jパーマーは「なぜ、椎骨はズレて、神経圧迫を起こすのか?」「神経圧迫はいつ発生するのか?」などの疑問に対して、研究を重ねていった。

 人間のしくみ、自然の一部としての脳や体の機能を追求していった。

(中略)

 そこでB.Jパーマーは、当時、医学が最も進んでいたドイツへ留学し、2万5000体もの骨標本を収集し、脊椎を詳細に観察、研究した。

 その結果、上部頸椎の異常によって起こる神経圧迫がさまざまな病気の重大な原因となると結論を出し、上部頸椎の「ホールインワン(HIO)説」を提唱した。1930年のことである。

 

ちなみに、「ホールインワン説」は、上部頸椎の形が、
ゴルフの「ホールインワン*1の状態に似ていることから命名されたそうです。

 

パーマー・リサーチクリニックでの研究

B.Jパーマーのたゆまない努力により、上部頸椎が自然治癒力に最も影響を与えるという理論が導き出されました。
しかしながら、彼の考えが、
最初からすべて受け入れられていたわけではありませんでした。

ここでは、B.J.パーマーが苦労の末、
カイロプラクティックの有効性を証明した歴史が語られます。

 そこでB.J.パーマーは、医師たちの反論に対して、カイロプラクティック理論の正しさを科学的データに基づいて証明するために、「B.J.パーマー・リサーチクリニック」を設立した。

(中略)

 患者はまず、医師が使うさまざまな検査機器によって症状や状態を調べられ、すべての検査データは記録・保存された。その後、カイロプラクターは、神経圧迫測定器、レントゲン画像によって、脊椎サブラクセーションを分析・記録した。

 (中略)

 B.Jパーマー・リサーチ・クリニックでの研究によってカイロプラクティックの有効性、可能性が科学的に実証された。

 そして、現在は、医学と同じように6年間の教育プログラムを設け、卒業生は国家試験を受け、「ドクター」の称号を受けることができるようになった。

 現代医学の医者が「ドクター・オブ・メディカル」と呼ばれるのに対して、カイロプラクティック大学を出たカイロプラクターは「ドクター・オブ・カイロプラクティックD.C.)」と呼ばれるのである。

B.J.パーマーの努力の結果、アメリカを始め、オーストラリア、ベルギー、南アフリカサウジアラビアなど、44の国と地域でカイロプラクティックが法制化されています。(2012年現在)*2

ただし、医学と比べると、カイロプラクティックの科学的根拠はまだまだ発展途上にあると思います。

特に、頭痛や腰痛などの骨格系の不調以外に関しては、さらなる研究が必要とされています。*3

 

なお、日本ではまだカイロプラクティックの法制度が確立されていませんが、
厚生労働省は、その有効性については認めています。
*4

 

 

 

 検査機器を駆使してサブラクセーションを発見する

カイロプラクターは、なにも魔法のように
患者の状態を把握するわけではありません。

 

優れたカイロプラクターは、患者の症状から交感神経、副交感神経のどちらに圧迫が起こっているかを判断することができる。

 さらに、どの脊椎がズレることによって神経圧迫が起こっているかを正確に突き止めるためにさまざまな検査機器を使う。

 レントゲン写真、コンピュータサーモグラフィー、ナーボスコープなどの検査機器を使って見つけていく。

 カイロプラクターは、日本の法制度下ではレントゲン撮影をすることができないので、医師と連携して、レントゲン撮影を行う。

(中略)

 カイロプラクターのなかには、このような科学的検査機器を使って神経圧迫の有無を確かめずに治療をしている人が少なくないが、それは本当のカイロプラクターとはいえない。

 B.J.パーマーが発展させた正統カイロプラクティックでは、脊椎の変位や神経圧迫を科学的に測定し、どのように矯正したらよいか科学的に判断するシステムが確立されているのだ。それを使わないのであれば、本当に効果の出る治療はできないと断言してもいい。カイロプラクティックは、きわめて科学的な治療方法である。検査や診断は、科学的データによって行い、実際の矯正は手だけで行う。これが正統カイロプラクティックなのである。

 

あなたが今までにかかったカイロプラクターは、検査機器を用いていましたか?

もし、そうでないなら、それはカイロプラクティックとは呼べないものかもしれません。

 

 

 

続きは次回!

長くなりますので、続きは次回!

次回が最終回です!

 

 

本日もお読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

 

 

概要編に戻るにはこちら↓↓

>>>「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(1/4)~概要編~ - 科学と健康と読書と 

 

次回、最終回・まとめはこちら↓↓

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*1:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AF%E3%83%B3

*2:カイロプラクティックの安全性に関するガイドライン Chiropractic Guideline-Safet 2013.1.18. 一般財団法人日本カイロプラクター協会

*3:  Salehi A, Hashemi N, Imanieh MH, Saber M. Chiropractic: Is it Efficient in Treatment
of Diseases? Review of Systematic Reviews. IJCBNM. 2015;3(4):244-254.

*4:https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/04.html

「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(2/4)~哲学編~

こんにちは!

 

 

前回の続きで本日もこちらをご紹介します↓↓

今回は2/4回目、”カイロプラクティックの哲学編”です!

ジャジャン♫

 

タイトル:「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック―『病苦を絶つカイロプラクティック』〈PART2〉

著者:塩川 満章

出版社:現代書林

その他情報:2005年6月13日 初版第1刷

 

 

今回はカイロプラクティックの”哲学”についてご紹介していきます!

  

 

前回の記事はこちら↓↓ 

>>>「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(1/4)~概要編~ - 科学と健康と読書と

 

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 ※画像は本文の内容とは関係ありません。

 

 

カイロプラクティックの哲学 
なぜ、カイロプラクティックで病気が治るのか

”奇跡”が起こった!

この章では、19世紀末、カイロプラクティックの生みの親、D.D.パーマー
カイロプラクティックを発見したときの様子が述べられます。

  D.D.パーマーのオフィスのあるライアンビルには、ハービー・リラードという雑役夫がいたが、彼はほとんど耳が聞こえなかった。(中略)

 背骨をゆっくりと触診するパーマーの手に、首の部分にわずかに隆起した部分が感じられた。この隆起は脊椎のズレによってできたものい違いないと考えたパーマーは、テコの原理を使うように椎骨の隆起部分を手で押すと、ボキッという大きな音とともに骨が動き、隆起が消えた。

 その直後、驚くべきことが起こった。ハービーの耳が聞こえるようになったのだ。

 なんと17年も聞こえなかった耳が、脊椎のズレた部分を正常な位置に戻すことによって、再び聞こえるようになったのである!

 

カイロプラクティックのノウハウがない時代に、
脊椎のズレ(サブラクセーション)を矯正するなんて、なんという神業でしょうか^_^;

D.D.パーマーがこれをやってのけたから、
今私達がカイロプラクティックの恩恵に預かれているわけですね。

まさに歴史的な瞬間といえます。

 

 

 

すべての人が100%持っている先天性治癒力

さて、今から100年以上も昔に、
D.D.パーマーによってカイロプラクティックが発見されたわけですが、
その治療の仕組みはどういったものなのでしょうか?

 カイロプラクティックは脊椎のズレを手によって正しい位置に戻すことによって神経圧迫を取り除く。その結果、イネイトインテリジェンス=先天性治癒力が100%発揮され、100%のエネルギーが体の隅々にまで伝達され、全身の組織細胞が100%の働きをするようになるのである。

 神経圧迫が完全になくなると、生命の三大要素はすべて100%のパワーを持つようになり、どんな病気も自然に回復していく。

 カイロプラクティックを受けたことのない人、あるいは初めて受ける人はこう尋ねる。カイロプラクティックで私の病気は治りますか?」「こういう病気はカイロプラクティックで治りますか?」と。

 その答えは「イエス」であると同時に「ノー」でもある。

 カイロプラクティックは病気を治すものではない。脊椎のズレを矯正して神経圧迫を取り除くことによって、その人の中にある先天性治癒力が100%発揮されるようにするだけである。先天性治癒力が自らの体を直していくのである。

 

つまり、カイロプラクティックとは、
「脊椎のズレを正すことによって、圧迫されていた神経の働きを回復させ、その結果、本来の免疫力が発揮されるように導く」治療法である、と言えるわけですね。

 

また、カイロプラクティックは病気そのものを治すものではない、と強調されているところが印象的です。

カイロプラクティックは、自然治癒力を最大限に引き出すことで、
何にでも効くともいえるし、
逆に何か特定の病気(頭痛や腰痛などの骨格系の不調を除く)を治すものではない、
とも言えるわけですね。

 

カイロプラクティックで、全ての病気や体の不具合が治るわけではないが、
万全の態勢で戦えるように準備をさせてくれる、というわけですね!

 

 

脊椎サブラクセーションこそ病気の原因

複雑な現代医学では、病気の種類が多すぎるがゆえに、
どういった治療がベストなのか判断が難しいときがあります。

その点、カイロプラクティックでは、脊椎の矯正という治療法しかないため、
余計な心配は不要です。

 

この章では、カイロプラクティックのシンプルさと、その効果の広さが説明されています。

現代医学は、現在までに1万8360種類以上の病名をつくってきた。病気の種類は現在も増え続けている。

 だが、カイロプラクティックでは、病名は「サブラクセーション」ただ一つだ。問題は、脊椎のどこにサブラクセーションが起こっているかである。

 頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、そして骨盤を結合する左右2個の仙腸関節のどこにサブラクセーションが起こっているかを正確に突き止め、正しい位置に戻して神経圧迫を取り除けばいいのである。

 1万8360個以上の病名から一つを選び、薬や手術をつかって治療するより、手だけを使ってサブラクセーションを治せばいいのだからずっと確実である。しかも治すのは、その人自身に内在する先天性治癒力であるから、完治する確率は格段に高く、無害で安全である。

 

この対比から、カイロプラクティックがいかにシンプルな治療法であるかが分かります。

それにしても、病気の種類が1万8000種類以上とは。。。

よくこんなに細分化したものだと、驚きですね!

 

 

なお「サブラクセーション」とは、背骨のズレによって神経が圧迫されている状態のことです。

D.D.パーマーの息子、B.J.パーマーが命名し、

以下のように説明されています。

「サブ」とは「少ない」という意味であり、「ラクセーション」とは

「関節の脱臼(関節がはずれること)」を意味している。つまり、首から腰に至る脊椎のどこかで「脱臼よりもすくない骨のズレ」が起こると、脊椎の中を通る脊髄から出ている神経が圧迫され、体にさまざまな症状や病気が起こることを「サブラクセーション」と名づけたのだった。

 

 

続きは次回!

長くなりますので、続きは次回!

 

 

本日もお読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

 

 

概要編に戻るにはこちら↓↓

>>>「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(1/4)~概要編~ - 科学と健康と読書と

 

次回、”カイロプラクティックの科学編”はこちら↓↓

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「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(1/4)~概要編~

こんにちは!

 

本日ご紹介する書籍はこちら↓↓ 

ジャジャン♫

 

タイトル:「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック―『病苦を絶つカイロプラクティック』〈PART2〉

著者:塩川 満章

出版社:現代書林

その他情報:2005年6月13日 初版第1刷

 

 

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 ※画像は本文の内容とは関係ありません。

 

 

本書の概要

著者の塩川先生は1947年生まれ、米国・パーマー大学を卒業したカイロプラクター(Doctor of Chairopractic:DC)です。

卒業後にベネズエラに渡り、カイロプラクティック・クリニックを設立しています。

後の1975年に、日本でシオカワスクール・オブ・カイロプラクティック*1を設立し、2020年現在でも学長を務めています。

塩川氏は、日本のカイロプラクティックの始祖と言っても過言ではありません。

 

また、現在はご子息と共に塩川カイロプラクティックオフィスを経営されています。*2

 

本書は「カイロプラクティックとはなんぞや?」
ということが詳細に解説されている書籍です。

 

カイロプラクティックについてもっと知ってみたい!」
カイロプラクティックの理念や哲学を学びたい!」
という方が手に取っていただければ、非常に楽しんでいただける一冊であると思います。

今回は4回に分けてご紹介していきます!

 

著者の塩川氏は、戦後初の日本人留学生としてパーマー大学で学び、
B.J.パーマー(カイロプラクティック創始者の息子)の
カイロプラクティック哲学に触れ、深く感銘を受けたといいます。

本書は、そんな著者の「正しいカイロプラクティックを知ってほしい」
という思いが詰まった一冊となっています。

そのため、カイロプラクティック誕生の歴史や哲学について詳細に記載されており、
科学的な視点だけではなく、
読み物として、ワクワクできる、大変面白いものに仕上がっています。

 

本書は、カイロプラクティックの ”哲学” ”科学” ”芸術” について解説しています。

”哲学”とは、カイロプラクティックの考え方
”科学”とは、カイロプラクティックの客観性
”芸術”とは、カイロプラクティックがもたらす治療効果
のことになります。

 

芸術の章では、症例の紹介がメインとなりますので、
このブログでは、主に哲学と科学をご紹介していきます!

 

 

余談(こちらもお勧め)

なお、
カイロプラクティックって胡散臭いけど、どうなんだろう?」
と思っている方は、

>>>整形外科医が書いた正しいカイロプラクティック(竹谷内宏明)(1/2)~原理編~ - 科学と健康と読書と

や、

>>>カイロプラクティックは効果があるのか?~腰痛編~(論文紹介) - 科学と健康と読書と

をお読みいただければ、と思います。

 

プロローグ

まずプロローグです。

この記事を見つけてくださった方の中には、
カイロプラクティックの治療に不満を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか??
是非このプロローグを読んでください。

 最近、街には「カイロプラクティック」の看板がいたる所に見られるようになった。本書を手にとっている方の中にはカイロプラクティックに何度か通ったけれど、少しも良くならなかったという方もいるのではないだろうか。なかには、痛みがますますひどくなったと怒っている方もいるかもしれない。

 そこで、言わせていただきたいと思う。

 あなたが受けたのは本当にカイロプラクティックの施術だったのだろうか。

 

本当のカイロプラクティックとは何か、
この一冊を通して、その真実が明らかになります。

 

カイロプラクティックの哲学 
なぜ、カイロプラクティックで病気が治るのか

>>>「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(2/4)~哲学編~ - 科学と健康と読書と

をお読みください。

 

 

カイロプラクティックの科学 
脊椎サブラクセーションをどのように見つけるか

>>>「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(3/4)~科学編~ - 科学と健康と読書と

をお読みください。

 

まとめ

>>>「治る力」を引き出す正統カイロプラクティック(塩川満章)(4/4)~まとめ編~ - 科学と健康と読書と

をお読みください。

 

 

 

本日もお読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

 

 

 

次回はこちら↓↓

hirororo.hatenablog.jp

 

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整形外科医が書いた正しいカイロプラクティック(竹谷内宏明)(2/2)~症例編~

こんにちは!

 

前回の続きで本日もこちらをご紹介します↓↓

ジャジャン♫

タイトル:整形外科医が書いた正しいカイロプラクティック

著者:竹谷内 宏明(たけやち ひろあき)

出版社:五月書房

その他情報:2004年8月28日 初版第1刷

 

前回の記事はこちら↓↓ 

hirororo.hatenablog.jp

 

 

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※画像はイメージです。本文の内容を反映しているものではありません 。

 

 

 

整形外科の仮説

熟練したカイロプラクターは、整形外科医では見つけられない程の小さな異常を見つけることができるようです。

 整形外科学は「痛む以上は、骨・関節・筋肉・血管・神経等の組織に、識別できる何らかの異常がなければならない」と仮説を立てているのですが、識別できる明らかな以上が無くても「ギックリ腰という症状」は成立します。

 重ねていうと、現状の整形外科学は「背骨に客観的で明らかな異常があるのではないか。あるいはガン、奇形、老化といった器質的な異常が見いだされるはず」と仮定してそれを探しています。

 しかし、カイロプラクティックでの治療経過から推察できるように、訓練された指先にかすかに感触される程度のわずかな不正常状態が、ギックリ腰になるのです。整形外科学は現状の考え方・仮説・仮定を訂正して、カイロプラクティックの病態を認めるべきでしょう。

 

背骨の異常に関しては、医師よりもカイロプラクターの方が一枚上手、ということでしょうか!

 

 

ひろろの余談(父の頭痛)

余談ですが、私の父は長年原因不明の頭痛に悩まされていました。

大学病院の脳神経外科まで行きましたが、一向に良くなりませんでした。

途方に暮れていたとき、カイロプラクティックの治療を受け、何をしても改善しなかった頭痛が綺麗になくなりました。

この先生が特に優れていた、ということもあるでしょうが、
カイロプラクティックの凄さを実感したエピソードです。

背骨の異常にかけては、カイロプラクターの右に出る者はいないのかもしれません。

 

 

ヘルニアは真の原因ではない

著者は、次のような、ある患者さん(職業:内科医)の治療にあたりました。

__

10年前から左上肢に痛みを感じているという。

3年前に症状は悪化し、頚部痛、背部痛、左上肢のしびれがあった。

医者(整形外科)にかかったが、症状が改善することはなかった。

カイロプラクティックの触診では、下位頚椎の左後方回旋が見られたが、
MRIによる検査では頚椎四番のヘルニアが疑われた。

__

このような患者さんに対する著者の見解は次のものでした。

 (1)ヘルニアが症状につながることもあるが、経験上、ヘルニアがあっても全く症状につながらないことが多い。

 (2)したがって、手術でヘルニアを除去しても症状が相変わらずつづく、あるいは手術でヘルニアを除去したにも関わらず、手術時の影響で症状がかえって悪化することすらある

 (3)真の原因は、頚椎の後方回旋つまりサブラクセーションであり、サブラクセーションが解消すれば症状も消える。ヘルニアの有無は多くの例で関係無いと判断している。

 (4)このサブラクセーション(頚椎の後方回旋)は、内科医という職業のストレスからきたのかも知れない。

 

著者の治療を4ヶ月受けた患者さんは、症状がほとんど解消したといいます。

 

ヘルニアが症状と関係がないということは非常に驚きです。

私の祖母も、下半身のしびれがありヘルニアの手術を受けましたが、
症状は全く変わりませんでした。

まさにここで紹介されているようなケースに近かったのかもしれません。 

 

 

まとめ

今回は、二回にわたって、竹谷内氏の
「整形外科医が書いた正しいカイロプラクティック
をご紹介しました!

いかがだったでしょうか??

 

カイロプラクティックに行ってみたいけど、少し不安」
「なんかあれでしょ?怪しいやつでしょ?」
カイロプラクティックについて網羅的に知りたい!」

という方に是非読んでもらいたい一冊です!

 

本書を読むことで、カイロプラクティックが科学的な考え方によって支えられている学問であることが分かります。

また、その歴史や、整形外科医からの観点も述べられていますので、なんとなくカイロプラクティックを知っている、という人でも、より知識を広げられる書籍になっています。

 

決して、医学とカイロプラクティックのどちらかが優れているわけではなく、
それぞれ守備範囲が違うということでしょう。

もし「代替医療=怪しい」と思っているのなら、その判断は性急過ぎます。

 

最近では、カイロプラクティックの有効性が科学的にも裏付けられてきています。*1
こちらの記事もどうぞ↓↓

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本記事がきっかけで、カイロプラクティックについて興味を深めてもらえれば幸いです。(^^)

 

 

ひろろの補足

厚生労働省は、カイロプラクティックの有効性について、一部認めています。*2

日本で、カイロプラクティックが法制化される日も、近いのかもしれませんね!(^^)

 

 

本日もお読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

 

 

他のカイロプラクティックの記事はこちら↓↓

hirororo.hatenablog.jp

 

他の書評はこちら↓↓

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*1:Goertz CM, Long CR, Vining RD, Pohlman KA, Walter J, Coulter I. Effect of Usual Medical Care Plus Chiropractic Care vs Usual Medical Care Alone on Pain and Disability Among US Service Members With Low Back Pain: A Comparative Effectiveness Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2018 May 18;1(1):e180105. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2018.0105.

*2:https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/04.html

整形外科医が書いた正しいカイロプラクティック(竹谷内宏明)(1/2)~原理編~

こんにちは!

 

さて、今回ご紹介する書籍はこちら!↓↓

ジャジャン♫

タイトル:整形外科医が書いた正しいカイロプラクティック

著者:竹谷内 宏明(たけやち ひろあき)

出版社:五月書房

その他情報:2004年8月28日 初版第1刷

 

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※写真は内容とは関係ありません 

 

本書の概要 

著者の竹谷内先生は整形外科医でありながら、
米国イリノイ州 ナショナルカイロプラクティック大学を卒業しており、
カイロプラクター(Doctor of Chiropractic: DC)でもあります。

 

本書は、医師が書いているということもあって、
医学の問題点を挙げつつ、
カイロプラクティックの有用性についてフォーカスしています。

一方で、カイロプラクティックで治療できない症状については
医者にかかるべきであることを説明し、決して万能ではない、
という指摘もしています。

客観的に、公正な目線で書かれている書籍です。

 

 本書は
カイロプラクティックに行ってみたいけど、少し不安」
「なんかあれでしょ?怪しいやつでしょ?」
カイロプラクティックについて網羅的に知りたい!」
という方々が手に取っていただければ、楽しんでいただけるのではかと思います!

非常におすすめですので、興味がある方は、ぜひご一読ください!

 

沢山の内容が盛り込まれていて、全部は紹介しきれないのですが、
要点のみご紹介していきたいと思います!

今回は2回に分けて記事にしていきます!

 

 

カイロプラクティックの根本原理

まずは、カイロプラクティックとはなにか?
というところから整理していきましょう!

本書では、カイロプラクティックについて、以下のように説明されていますので、引用してみましょう。

分かりやすいように一部赤字に編集しています。

 (前略)現代医学は「病気は必ず細胞の病変としてとらえることができる」という細胞遺伝学を原理にしています。

 これらに対して、カイロプラクティックは「背骨を中心軸とする人体の構造はゆがみやすく、ゆがむとまっ先に神経系のはたらきが不正常になる。そこから派生してさまざまな症状が現れる。また、その逆に神経系のはたらきが不正常なために背骨をゆがめてしまうことがある」という原理からスタートします。

  背骨を中心軸とする人体の立体構造のゆがみは、神経系のはたらきに影響するばかりでなく、筋肉の緊張度にも不正常な影響を同時にもたらします。カイロプラクティックでは、このように骨格・神経・筋肉の三つに同時的に不正常状態が生じることを「サブラクレーション」と名づけています。

 従って、カイロプラクティックは「多くの病気・不調の出発点にサブラクセーションがある」と見ます。逆にサブラクセーションを見いだせない症状があるとすれば、それはカイロプラクティックの治療対象となりません。

 

要約すると、
「背骨のゆがみにより、神経・筋肉の不調が生じる。
それを正すのがカイロプラクティックである。」
ということです。

 

本書には、カイロプラクティック歴史や考え方についても深く記述されていますので、
もっと詳しく知りたい方は是非手に取って読んでみてください。

 

文末の「逆にサブラクセーションを見いだせない症状があるとすれば、それはカイロプラクティックの治療対象となりません。」の部分からは、
著者が医師であり、カイロプラクティックの限界を理解して治療をしていることが分かります

 

 

 Q カイロプラクティックは万病に効きますか?

著者は文末のQ&Aでも、次のように解答しており、

カイロプラクティックで治療できること、できないことを正確に区別しています。

Q カイロプラクティックは万病に効きますか?

A 最近は減りましたが、難病・奇病に効くという誇大広告には困ったものです。もちろんカイロプラクティックにも限界があり、私たちは適応と禁忌の区別を常に指導しています。

 カイロプラクティックの得意分野は、何といっても筋肉骨格系を中心とする腰痛、背部痛、頭痛、むち打ち症、肩腕、股関節、膝などの疾病です。その他自律神経失調症、内臓機能低下、生理痛、冷え性、などにも効果があります。整形外科とは違い外科的なことは扱いません。また、癌、細菌性の病気、伝染病などはカイロプラクティックの禁忌です。私たちが推薦するオフィスには適切な教育を受け、カイロプラクティックの適応と禁忌を判断できる先生がいます。

 

やはり、一般的に思い浮かべるような、骨格・関節に関わる不調が、カイロプラクティックの守備範囲ということですね。

例えば、風邪の治療でカイロプラクティックを訪れてはいけません<(_ _)>

 

 

整体治療との混同は困る

整体治療についても言及しています。

日本には各種各様の整体治療(術)があって、時には神がかり的・天才的治療を「行っていた」あるいは「行っている」ようですが、「一代限りの術である」と私は見ています。二代目以降になると 亜流・支流・分流が生まれています。家元制度のようになっていく集団もあるようです。

 この事実は、病気の捉え方や直し方に、あいまいで不安定な要素を、非常に多く含んでいることを意味しています。

  多くは、掘り下げた治療論を欠落させ、直観に頼る「術」に終始しているようで、こういう治療術は当たり・外れの多いものになるはずです。当たった人はその術者の信奉者・ファンになるのは自然なこととしても、これでは広く多くの人々を病から救えないのは明らかです。

 「術」の領域からは、時として驚くような発見・示唆がありますから、私はこれらの方々の治療活動を全否定することはしませんが、カイロプラクティックとの混同だけは絶対に困ります。カイロプラクティックは「大学教育」で教える専門職なのです。

 

日本で見られる整体とカイロプラクティックは全くの別物、ということですね。

 

また、医師・歯科医師と並び、自ら人に診断・治療ができる職業として、
柔道整復師*1がありますが、こちらもカイロプラクティックとは全く異なるものです。

 

 

もう一つの困った問題

整体治療との混同も問題ですが、まだ他にも課題はあります。

 関連して、カイロプラクティック分野には、もう一つの困った問題があります。それは”自称カイロ”が横行しているという点です。

 世界を見渡すと、カイロプラクティックの治療論は、2004年現在で34の国や地域で法的に認可され、教える大学も36校にのぼっています。ところが日本は、第二次世界大戦後のいくつかの事情、および整形外科学会の理不尽な抵抗もあって、政府が法律上の認可を下さぬまま今日に至っています。

 このために、カイロプラクティックについて厳格な教育を受けていない方々が、勝手にカイロプラクティックの看板を掲げることになってしまいました。4千人から5千人いると推定されます。この方々が悪いのではんく、行政と医学界が世界の動向を見失っている点が問題です。

 カイロプラクティックの厳密な治療論点治療技術をマスターした人が、カイロプラクターの有資格者になるのですが、これについては国際基準があります。日本では、その開業者に対して「日本カイロプラクターズ協会」(JAC)が「認定証」を発行しています。(後略)

 

このように、日本ではカイロプラクティックが法制化されていないがために、
誰でもカイロプラクターを名乗ることができてしまいます。

自称カイロプラクターの治療を受けてしまうと、
カイロプラクティックの治療対象でない場合でも通院してしまうことになってしまいます。
そうすると、いつまでも症状がよくならない、余計に悪化した、
というような事態になりかねませんので、注意が必要です。

 

これからカイロプラクティックを受けてみたい、という方は、JACが認定証を発行しているカイロプラクターにかかると良いですね。*2

  

 

続きは次回

長くなりますので、続きは次回!

  

本日もお読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

 

続きはこちら↓↓

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カイロプラクティックに関する記事はこちら↓↓

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